ふくしチャンネル
ふくしチャンネルは、福祉や介護に関する情報発信・相互交流を目的とした総合サイトです。 http://www.fukushi.com/
HOMEHP検索ニュース検索看護と介護の求人案内サイトマップ


特集
福祉・介護職のオアシスで語り合おう!
介護支援ネットの集い
開催概要
Part 1
Part 2
Part 3

ふくしチャンネルレポート

第5回 介護支援ネットの集い パート1

 6月に開催された「介護支援ネットの集い」の模様を、3回にわたってお伝えする初回は、『ケアマネは見た!理想の介護と現実のギャップ』と題したチェーントークの内容です。
 理想とする介護がある一方で、多忙な業務のなか、毎日同じ介護を繰り返さざるを得ない実状。「納得できない介護をするために福祉の道に進んだのではない」、「どうにか変えていきたい」――参加者のより良いケアをめざす想いの中から、ギャップを埋めるための糸口を探っていきます。

がんばりすぎる人ほどギャップを感じる?
安永選手:“ギャップ”と一言でいってもいろいろあると思いますが、キャリア歴20年の「さっちゃん」は、どんなことに一番ギャップを感じますか?
さっちゃん:そうですね。
やっぱり介護職にも人権はほしいですし、尊厳をもったプライドある仕事をしていきたいと思っているんですけど、実際できないんですよね。
 利用者さん一人ひとりに長い間生活されてきた歴史というものがあるのと同じように、介護職もそれぞれ職場環境、家庭など違います。そのなかで自分たちの生活を支えるための生業としての介護と、こういうこともしたいという理想の介護とのズレは感じています。
くみちゃん:私は老健で3年働いて介護福祉士をとったんです。
 現場では、すぐに「プロ」を求められ、1日でも先に入った人は新しい人を教えなくちゃいけない厳しさがあります。これは、資格をとった後も資格をとる前も現場の厳しさ、忙しさってまったく変わってない気がします。
そういう意味でのギャップも感じ、このままではいけないんじゃないかと、上とも話し合ったんですが、自分の意見はあまり通りませんでした。がんばりすぎてもいけないんだなぁと思って、ちょっと休憩するつもりで辞めたんです。
 現在は、この4月からグループホームで働いているんですけれど、やっぱり違いますね。1人の利用者さんとじっくり向かい合うのって、こんなに大変なことだったんだと、時間をかけて向かい合わなければその人のことはわからないということを、今つくづくと感じています。
岐阜在住
介護福祉士
グループホーム勤務
さっちゃん:私はみなさんがご幼少の頃、病院の介護職として働き始めたんですけれども、その頃の介護職は、看護婦さんの下で言われたことをやっていればいい、何の知識もいらないんだと、余分な知識をつけるんじゃないという立場で、完全な下働きだったんです。
 時代の流れとともに、徐々に私たちにもちゃんと記録をつけなさい、ケアプランを立てなさいと、いろいろな要求がされてくるように変わってきました。
でもね、「褥瘡」っていう漢字も書けない状態。ひらがなで書くわけにもいかないので、大きく紙に書き出したりして、自分たちで勉強していこうという気持ちになった辺りから、介護職が少しずつ力をつけだし看護師さんと並んで一緒に仕事ができるようになったの。今のような立場になるまでに10年かかったんですよ。
安永選手:介護福祉士、社会福祉士の資格ができ、福祉・介護職がプロとして認められるようになって約15年。介護がいわゆる女性の仕事、影の仕事から、ようやく日なたの仕事になってきたと思いますが、それゆえの新たなギャップが生じるということもあるんですね。
 介護福祉士と社会福祉士、両資格をもつ「ごんちゃん」は、現場で感じるギャップについてどう思われますか。
ごんちゃん:さっちゃんが仰ったように「本当はこうしたい。でもできない」という狭間で、みなさん苦しんでらっしゃると思うんですよね。
 私は、もっと視野を広くもってもらいたいと思います。もっと先まで、幅広く考えれば見えるようになるのに……狭い視野で夢中になっちゃうんですよね。
安永選手:正直な話、コンサルタントとして現場から離れたところで見ていると、がんばりすぎている人ほど視野が狭くなってしまっていると感じますが。
さっちゃん:本当にね。あれもやってあげたかったのにできなかった、これもやりたかったのにできなかったって、自分のできないことばかりが溜まっちゃうの。
だから、自分のできることって何だろうって、これだけで私は満足しなきゃいけないのかなって思う。
 ……実は私、社会福祉士になりたかったんですが、ケアマネに受かってからのグループワークで、社会福祉士さんに理論でバババッと叩き込まれちゃって。私には無理だと、社会福祉士って偉いんだと、私は足元にも及ばないと意気消沈してしまったんです。
安永選手:キラキラ正攻法理論できたわけですね(笑)
同じ社会福祉士として「於徒楽」さんは、どう思われますか。
於徒楽:社会福祉士というのは理論的な人が多いようで。
社会福祉士の掲示板でも、資格はとったけれどなかなか自分の思った仕事に就けない、マイナスのイメージをもっているなど、同じ悩みを抱えていらっしゃる方が多く書き込まれているんですよ。
 私は、自分を卑下しても仕方ないじゃないかという思いから、憲法13条、25条を思い出してくださいとちょこちょこレスつけさせてもらってます。
やっぱり措置から契約へという流れを考えると、13条の「幸福追求」型のものに力を入れていかなくちゃいけないと、私は考えているんです。社会福祉士としては生活の質全般を上げる必要があると感じていますから。
安永選手:医師などは偉くて、介護職員は偉くないという感じもありますよね。利用者さんに一番頼りにされているのは介護職なのに。
静岡在住
介護福祉士 ケアマネジャー
病院勤務
さっちゃん:「大変ね」とは言われても、「偉い仕事だね」と崇めてくれる位置にはまだいないのよね。
 社会福祉士になるのは諦めたんですけれども、その次に何ができるのかな?って考えてた時に知ったのが福祉住環境コーディネーターだったんですよ。

 やっぱり新しいこととか、自分にできうることとか、そういう知識を広めて勉強していきたいなぁって思います。
安永選手:ここ数年、介護福祉士をもってる方はすごく増えてきました。
資格を活かす活かさないということよりも、「資格をとる=給与が上がる」という考えが現実的にはあるようですが。
さっちゃん:実際、資格を持ってるだけでは何にもならないと思いますよ。
くみちゃん:資格をとったからいいっていうのではなく、そこから勉強していかないと流れにもついていけないんですよね。

ケアの資質向上は気持ちの問題
くみちゃん:今思えば、前の職場では自分に何かできるんじゃないかって勘違いしちゃったところがあったと思うんです。1人の人を見守るには、医師、看護師、スタッフ、家族などいろいろな職種が関わる必要があるのに。
その時は気づかなかったんですけど、ちょっと離れてみるとわかりますね。自分にできることって大したことじゃないんだって。
安永選手:1対1でいけばいくほど、どうしても自分が……となる側面が大きいですよね。その点について、在宅のヘルパーさんはどうでしょう?
ぷーさん:1人の利用者さんに対し、訪問看護、訪問入浴、デイサービスなど、いろいろなサービスを組み合わせて関わっていきますよね。各部署でお客様に対して別々に関わるのに、意識が統一されているんです。これは、定期的なカンファレンスをまめにやっているからだと思います。
ケアマネジャーさんも信頼できるんですよ。やっぱり、職員間の信頼関係の構築が大切だと感じています。
安永選手:つまり、人によるところが大きいんだということですよね。
施設であればハード面、例えば「お風呂が立派だった」などで逃れられるところがあると思うんですけど、在宅では難しいところです。
北海道在住
社会福祉士
福祉コンサルタント会社開発室長
吉田:もう私は現場を離れておりますけど、果たしてその方にとって本当に満足していただける介護ができたのかなと、反省しております。
 言葉じゃなく、気持ちなんです。食事介助一つにしても、カツにはソースじゃなくちゃだめというような考えをもっている人もいるんですよね。しょう油でもマヨネーズでもいいんです。私たちはそういうことを押し付けていたんじゃないかと思います。

 介護っていうのは、人間の原点に戻ること。一つひとつの積み重ねです。いろいろな専門職があると思うんですけど、やはり人間としての原点に戻った介護方法、温かい手を差し伸べていただけたら――と思います。
安永選手:今、注目を浴びている介護の新しい流れはユニットケアですよね。実践されている「まめっち」さん、現状はどうでしょう?
まめっち:本当にゆったり介護できたのは全床埋まるまでで、満床になった時に60人を6人で見なければならない状態になってしまったんです。これはすべて利用者さんにしわ寄せがいき、職員中心の流れができてしまいました。
自分の仕事が終わったら、職員同士で集まってしゃべってしまう。何をしたらいいかわからないという状態なんです。

 ユニットケアというのは方法ではなく、一人ひとりの職員の気持ちの持ち方だと、私は実感しています。
自分のやるべきことがわかっている職員、それに気付ける職員が多ければ、良い施設だと思うんです。箱はユニットケア、中身はまだまだこれからの状態ですが、スタッフの気持ち次第で本格的なものになれると感じています。
≪開催概要へ 次ページへ≫



HOME広告掲載プレスリリース各種登録方法リンクの貼り方個人情報保護方針お問合せ このページの上部へ
「ふくしチャンネル」−福祉と介護の総合サイト−
copyright(C)1998-2011 株式会社 ウイッツジャパン
掲載の記事・写真・イラスト等、すべてのコンテンツの無断複写・転載を禁じます。