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特集
福祉・介護職のオアシスで語り合おう!
介護支援ネットの集い
開催概要
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ふくしチャンネルレポート

第5回 介護支援ネットの集い パート1
安永選手:気付く職員が多い、少ないというのは我々の側の問題です。入居者は職員を選べないわけですから。
 気付かない職員にどう気付かせるかが、人を育てるという意味でも、すごく大切なポイントになるようですね。

 若い職員を手のひらで転がしているさっちゃんは、この点についていかがでしょう?(笑)
さっちゃん:若い職員たちには「私がしてほしいと思っている介護をやってくれているんだから、自由に動いていいよ。私は年だから、移乗とかあまりやらなくても大目に見てね」と言ってます。でも自然に「腰痛めると大変だから、僕やりますよ」って、みんな労わってくれるんですよ(会場:爆笑)。

 そんなありがたい職場にいるわけですけど、若い人たちが介護の現場をものすごく変えてきてくれるということを痛切に感じています。
 うちの病棟では、入浴を嫌がる方がいなくなったんです。ユニットのようなお風呂があるわけでもなく、温泉の大浴場のようなお風呂しかないんですけれど、若い職員が膝に抱いて手でお湯をかけながら「気持ちいい?」っていつまでも入れているわけですよ。
 私には、昔の流れ作業的な介護が染み付いていますから、「早く!あと30分で○人入るんだから。看護婦さんも待ってるじゃないの!」と言いたくなるんですけど、そこを「私だってああいう入れ方してもらいたいよなぁ、お風呂好きになるだろうなぁ」って思い直してます。

 お食事の時にも「早く食べてね」とは言わないんです。「冷めないうちに食べてね。ゆっくりでいいからね」っていう言葉をかけてくれます。
 おむつ交換にしても、うちの病院ではペア介護が絶対です。
一人で大丈夫だからってごろごろ転がすような物扱いする介護はしない。早く終わればいいという時間を争うような介護はしない。ケガは絶対させない。できない方には介護の業務から外れていただきますと、厳しく言ってるんですよ。これは、うるさいおばちゃんの私がやらなきゃいけないことだと思ってます。

 ハードの面ではユニットには程遠いんですけど、病院でもユニットケアにいくぞ!といったとき、すぐに対応できるようなソフト面にはなってきていると感じます。
安永選手:気付かない職員に気付いてもらうには、さっちゃんのようにがんばって口うるさくしながら言っていかなければならず、言い続けると孤立してつらい立場になる。でも、それをしていかなければ、良いケアに発展していかないんですよね。難しいところです。
くみちゃん:うちはヘルパー経験者が多いんです。ヘルパーさんって、決められた時間内にご飯を作って洗濯して帰ってこなきゃいけませんよね。そのままグループホームに入ると、一人の人をしっかりと見ることはできるんですが、他の方に目が行き届かない人が多い。
施設職員、ヘルパーなど、いろいろな職種が集まってやっていくことがいいんだろうなと、改めて思いますね。
意見の差異はあっても、意識の統一をはかろう
臥龍:最近になって食事を一切拒否してる方がおって、どんどんこけてくので何とかケアしたいと思っているんですが。
安永選手:自己決定、自己責任で本人が食べないんだからそれでいいじゃないか――というのは、通されませんよね。
医師のオットン先生は、どう対応するべきだと思われますか?
オットン先生:一昔前だったら、手足を括りつけて点滴などでとにかく生命を保たせるということをやってきましたよね。拘束はいけませんが、やらないと必ずといっていいほど抜かれちゃいます。
 このとき痴呆だから引っこ抜くのか、しっかりしているから嫌がっているのか、その見極めをすることが一番大切だと思いますね。
食べないから胃ろうを作ってくださいと言って、胃に穴をあけようとする方もおるんですが……そこまでして生かさなきゃいかんかなって、私は思います。
さっちゃん:どうして介護職って「全量摂取」にこだわらないといけないのかしら?
今日はご飯を食べたくない、このおかずじゃ食べたくないよって思うことあるじゃないですか。
安永選手:「〜しなきゃいけない」ということが多いですよね。
くみちゃん:うちは全量摂取してません。「食べたい時に食べてね」って形式ですし。
でもね、「何が食べたい?」って聞いても、「うん、何でもええわ」と言う人が本当に多くて。きっと今まで希望を言っても出してもらえなかったから、言ったって無駄だと思ってらっしゃるんでしょう。

 本当にこの人は何を食べたいんだろう?ってところまで深く察してあげれば、胃ろうも減るんじゃないかな。食べさせ方を変えてあげれば、また楽しい食事であれば、食べてもらえるんじゃないでしょうか。
ときちゃん:そう、もっと時間をかけて、楽しんで食べさせてあげたいんですよ。その雰囲気作りが難しい。思ってるだけではダメだから、メニューを選んで食べるということを試しています。
それでも、全量摂取にこだわってしまうんですよね。ミキサー食も「本当にこれを食べるの?」というものだったりするのに、無理矢理食べさせるのは……。
安永選手:「全量摂取できない=体調が悪い」と捉える傾向が強いですよね。その理由が食事内容なのか、好き嫌いなのかなどを考えることが重要です。
Minato:施設って職員さんが慌しいんですよね。介護をするなかで「本当の生活」というものを考えた時、利用者さんの生活はできているのかなって疑問に思います。
安永選手:職員ががんばって仕事をすればするほど、利用者さんからみれば忙しそうで声をかけづらい。でも、がんばらないと仕事は溜まってしまいます。
『さっちゃん走る!』というタイトルのホームページがありますが。
さっちゃん:このタイトルは「介護保険は走りながら考える」ということでしたから、もじってつけたんですよ。
 病院のなかでは「絶対に走ってはいけない!」と言ってます。いくら走ったってそんなに変わらないよ、10秒も違わないよって。でも、気持ちとしては走って行ってあげてねということも付け足してますよ。あ、緊急の時は別。辛くて待っている人がいるのに、ゆっくり歩いていったらかわいそうでしょ(笑)。

 仕事は回していかなければならないのは当然なんですけど、同じことの繰り返しだけが生活じゃないですよね。
くみちゃん:そうですね。2年も病院に入院していた痴呆の方が、部屋に入るなり床上げしたのを見てびっくりしましたよ。ある方はごぼうをささがきし始めたり。やっててヨダレが入っちゃってるんですけど、熱湯消毒するんだからいいよって(笑)、みんなで食べたんです。
昔の記憶は残っているんですよね。

 日常の中で、うれしくなるようないろいろなことや変化が、グループホームにはあります。やっぱり施設とグループホームって違うのかな。
かりん:私は現在、訪問看護師なんですが、病院と居宅の違いを感じてショックを受けました。
 本来はあってはならないはずなんですけど、病院ではやはり医師と看護師が上、患者さんが下という構図があります。
ところが、居宅では医療スタッフに対する患者さんの態度が違うんです。利用者さんからは「これやっといてちょうだい!」と指示を受け、こちら側は「お宅に上がらせていただく」というスタンス。正反対です。本来はこういうものだったんだと気付きました。

 医療と介護は対立するべきものではないのに、そんな暗黙の空気も漂っている気がします。私はヘルパーさんにはヘルパーさんなりの見方、接し方があるわけですから、お互いの情報を大切に、様々な職種が一緒により良いケアをすべきだと思います。

安永選手:今までの内容をまとめますと、ギャップを埋めて、より良いケアを行っていくためのポイントは3点あるのではないでしょうか。
 まずは「しがらみをどうなくしていくか」。そして「現実に流されずに理想をどう持ちつづけるか」。もう一つは「職員がコミュニケーションを図ってどれだけがんばれるか」。
さっちゃん:みんなでがんばっていく!
がんばるっていう言葉はプレッシャーになると思うんですけど、息抜きできるところを上手に作って、理想に燃えてやっていきましょう。
 やっぱり理想がなくなってしまうことほど、つまらないことはないと思いますから。
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