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なおさんPROFILE
神奈川在住
福祉用具専門相談員
福祉住環境コーディネーター
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車椅子導入時の三大要素には「移乗」と「移動」と「姿勢」があります。これは、車いすだけではなく、ポータブルトイレやベッドなど福祉用具を導入する際にも、最初にアプローチしていかなければならない要点だということを、ぜひ覚えておいてください。
いろいろなタイプの車いすがありますけれども、最近レンタルで増えてきている「モジュール式」から、シーティングについてお話していきたいと思います。
「モジュール式」はみなさんご存知だと思いますが、上下前後のタイヤ位置、足台の角度や長さ、背もたれや座面の角度、奥行きなど細かい調節機能のついた車いすです。
この細部の調整が可能か不可能かで、身体機能面や日常生活面などに様々な弊害が生じてしまいます。本来ならば、身体機能的には自分でできることなのに、車いすが適合していないためにできなくなっている……例えば、長く座ることや自力走行などですね。
では、調整することにより「できること」についてみていきましょう。
まず、移乗。せっかく広いトイレにリフォームしたとしても、足台が外れなければ便器に十分近づけませんよね。自力で移乗できるはずなのに、車いすが移乗方法に合っていないために介助が必要となってしまう。
また、肘掛が外れないと「ヨイショ」って一度立ち上がらなければなりませんよね。足台と肘掛、この両方を外す調整によってトイレはもちろんのこと、ベッドなどにも簡単に移乗動作ができるようになるんです。
次に移動。車軸の位置やタイヤの大きさが合っていないことで、自分で漕ぐという動作に支障を生じる場合があります。肩が上がり過ぎて関節が痛くなったり、足で漕ぐ場合には腰が前に出て骨盤がねじれてしまったり……これらの小さな原因が「自分では漕げないんだ」という大きな心の問題に繋がることが、家族を含めてよくあるんです。
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