そもそも夏バテとは、「だるい」「食欲がない」「疲れやすい」などの症状が出ることをいいますが、これらは自律神経の不調によって起きる症状です。
エアコンが普及した現代、室内は寒く感じるほど冷房が効いていますが、一歩外に出るとうだるような暑さ。この温度差に体がついていけず、自律神経がおかしくなってしまうのです。
その結果、体調が優れないため食欲不振になり、食べられないからもっと疲れやすくなるという悪循環に陥ります。これを断ち切るには質の良い食事をすることが一番!
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住垣副代表(左)と、レシピ考案者の大沼さん(右)。
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在宅栄養アドバイザーとして活動している管理栄養士のグループ「E-net」副代表、住垣さんは「疲れやすさの原因はエネルギーや老廃物の代謝不良。ビタミンB群で疲労物質を溜めない身体にすることが大切です」といいます。
夏は喉ごしのよいそうめんなどを食べがちですが、糖質の多く含まれている食材ばかりを摂ると、タンパク質、ビタミン、ミネラルが不足。糖質の代謝にはビタミンB1が余分に消費されるので疲れやすくなってしまうのです。
ビタミンB1が含まれている食材でよく知られているのは豚肉、レバー、大豆、穀類の胚芽、卵、青魚など。
そこで、オススメのメニューは「いわし味付缶の発芽玄米丼」です。発芽玄米をやわらかめに炊き、すりゴマを混ぜて丼に盛ります。いわしの味付缶を卵でとじてのせ、三つ葉をちらしてできあがり。いわしに生姜入れて臭みを消すことがポイントです。
日頃から食の細いお年寄りにとって、夏場は特に低栄養が心配です。
「お年寄りは積極的にタンパク質を摂るように心がけましょう」。
タンパク質は糖質や脂質とともに三大栄養素の一つで、そのタンパク質を構成しているのが今話題のアミノ酸。アミノ酸が不足すると、体内のバランスが崩れるといわれています。
「タンパク質を摂りやすい食品は、まぐろの刺身やささみ、卵、豆腐、うなぎの蒲焼、牛乳やヨーグルトを使った料理ですね。お豆腐に少し手を加えてごま豆腐にしたり、市販のきんぴらと混ぜて豆腐のけんちん焼にしたり、マヨネーズを使った料理もお勧めです」。
また、口渇感が衰えたり、トイレへ行くのがおっくうだからと水分補給をセーブする方は脱水症の危険性大! お年寄り自身が脱水症状に気づかないケースが多いので、家族や第三者の気づきが必要です。
1日に必要な水分量は、だいたい体重1キロあたり35ml以上。食事以外で最低でも1日1000〜1500ml以上摂るとよいといわれています。
「日中、ヘルパーが入る場合などは、最初と中間と最後に必ず水分を補給してもらうとよいでしょう。また、お年寄りが水分を摂らなくなったり、食事量が減った場合には脱水症状にならないよう気をつけることが大切です。熱中症になると体温が高くなるため、体温管理もしっかりと行ってほしいですね」と住垣さん。
水分補給に適している飲み物は、電解質の調整されたスポーツドリンクや野菜ジュース、乳酸飲料、介護食品の水分補給ゼリーなど。
むせやすく誤嚥しやすい方には、とろみをつける方法がよく知られていますが、その濃度は「粉ゼラチン5gに対し、300mlの水分で溶かしたものがちょうどよいです」。
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あずき茶巾 ヨーグルトソース添え
(レシピは下にあります)
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3度の食事で必要なカロリー(女性1200kcal以上、男性1500kcal以上)を満たせない場合は、間食がオススメ。
市販のゆであずきを使用した「あずき茶巾 ヨーグルトソース添えは、高たんぱく、高カロリーのおやつです。
少し皮が固くなってしまったお饅頭のあんこを取り出して、茶巾にリメイクすることも可能。
また、あずきをかぼちゃやさつまいもにしてもよいそうです。その際、スキムミルクやオリゴ糖を加えるのがポイント。作り置きしておけば、好きな時に食べられます。
食事は毎日のことですから、手をかけないで簡単にできるものでないと長く続けられません。
「3食すべてごはんを食べなければいけないという考えはやめた方がいいと思うんです。時間も朝昼晩と決めないで、5〜6時間離して食べるようにしたり。糖尿病など疾患のないお年寄りでしたら、うまくおやつ的なものを取り入れて、遊び心をもって食事を楽しむといいと思います。私の関わっている方では、お昼ごはんがケーキという方もいるんですよ」。
食べ残った料理が何度も冷蔵庫と食卓を行ったり来たり……。
「今の時期は危ないですね。できれば、一回分を冷凍して、食べる時にレンジで加熱することをお勧めします。その際、必ず2〜3度かき混ぜてください。周りは熱くなっても中まで熱が通ってないことがありますから」。
一度使ったスプーンなどを容器に入れたまま、冷蔵庫で保管することは厳禁!口内の菌が料理に入り、繁殖してしまいます。
「ヘルパーさんにお願いしたいのは、作った日付けを大きく記入しておくことです。買ってきたお惣菜の賞味期限も字が小さくて見づらいですから、マジックなどで大きく書いてあげるといいですね」と住垣さん。
また、物のない時代を生きてきたお年寄りは賞味期限が切れていても、「もったいない。まだ食べられる」となかなか捨てたがらないもの。記録ノートに必ず「ご本人の希望で食べました」と書き残すことも重要です。
住垣さんに、夏バテ解消料理を教えていただきました。
暑くて料理をしたくない!という方にもオススメです。
いろいろな味で食欲復活!!
サケの彩り酒蒸し 3色ソース添え
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<1> 長ねぎ(10g)は斜め薄切りに。ブロッコリー(小房2個)はラップで包み、電子レンジで1分加熱する。
<2> 耐熱容器に昆布を敷き、その上にサケ(40g)、豆腐(40g)をのせる。サケの上には長ねぎをのせて酒をかけ、ラップをして電子レンジで2分ほど加熱。
<3> その間に「オーロラソース」「おろしだれ」「ゴマだれ」を作る。オーロラソースはマヨネーズ(小さじ2)とトマトケチャップ(小さじ1)を混ぜ、おろしだれは大根おろし(小さじ1)、生姜汁(小さじ1/8)、市販の濃縮麺つゆ(小さじ2)、水(小さじ1)を混ぜる。ゴマだれは市販のものを使うと便利。
<4> サケに火が通ったらラップをはずし、ねぎとブロッコリーを沿える。 |
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レンジで10分!タンパク質たっぷり
にんじんのクイック白和え
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<1> にんじん(30g)は細切りし、耐熱容器に入れて、だし大さじ2を加え、ラップを落し蓋のようにのせて電子レンジに3分かける。
<2> 和え衣を作る。耐熱容器に絹ごし豆腐(20g)、ピーナッツバター(5g)、白味噌(7g)を入れて、ラップなしで電子レンジに20秒かけ、取り出して、小さ目の泡だて器でなめらかになるまで混ぜる。
<3> 水気を切った<1>のにんじんを和える。 |
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冷凍枝豆でかんたん、おいしい
枝豆のみそスープ
<1> じゃがいも(30g)の皮をむき、4つ割にして小口に薄く切り、電子レンジで加熱する。
枝豆(30g)は解凍し、さやを取り除く。じゃがいもと枝豆をミキサーにかける。
<2> なべに水(3/4カップ)に和風だし(小さじ1/2)を入れ火にかける。沸騰したら中火にし、みそ(小さじ1)、溶いたスキムミルク(大さじ1)と、<1>を合わせる。
※味が薄い場合は塩を加える。
※スキムミルクの代わりに牛乳を使う場合は、湯1/4カップ、牛乳130mlにする。 |
夏バテにも便秘にも効く万能デザート
あずき茶巾 ヨーグルトソース
<1> 市販の無糖茹で小豆(40g)は、マッシャーでつぶす(なければ大さじの背で。多めに作るなら、フードプロセッサーにかける)。
粉末黒砂糖(小さじ1)、塩(少々)を加えてよく混ぜ、ラップで包んで茶巾に絞り、容器に盛る。
<2> プレーンヨーグルト(20g)とオリゴ糖(10g)を混ぜて<1>にかけ、あればシナモンシュガーをふり、ミントを添える。
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(レシピ・写真提供:E-net)
次回は「調理のお助けアイテム あると便利なキッチングッズ」を取りあげます。
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