1974年に『社会福祉施設の近代化機器展』として開催されてから30年・・・。
今年の『国際福祉機器展』は、世界14カ国から630社が出展し、来場者は昨年より890人多い13万8000人を超え、過去最大規模での開催となりました。
「ポイントは2点です。しっかり覚えておいてくださいね。」
今年4月から、新たに介護保険の福祉用具レンタル品目に加えられたスライディングボード。このスライディングボードを活用したデモンストレーション『寝たきりにならない方法』を行った(株)シーホネンスのブースでは、多くの来場者が熱心に見入っていました。
スライディングボートとは、車椅子とベッド間などを座ったまま横滑りするようにして移乗するもの。介護者の腰痛予防のためには有効な道具ですが、使用にあたっては慣れが必要とされ、誤った使い方をすると転落などの事故に繋がりかねません。
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「足はねじれないように、車いすに近い足を前に、反対の足は後ろに・・・」。 |
「(1)ボードを乗り移りたい方向へ斜めに傾けること、(2)臀部半分はしっかりとボードに乗せること、これらが重要なポイント」と、デモンストレーションでも使用上の注意点を繰り返し強調していました。
また、導入の際には周辺機器を整備することも重要。車いすはアームレストがはね上げ式、もしくは外せるもの、フットレストも取り外し式のもの。ベッドはハイアンドロー機能付きのギャッチベッドが必要です。
シーホネンスの生活支援ベッド「コア880R」は、床面25pまで下げられ超低床にすることが可能。また、付属のサイドレール、回転介助バーを併用することで、より安全に移乗することができるようです。そればかりではなく、このベッドは臀部より足が下にさがるため、身体をちょっと回転させるだけで楽に端座位姿勢になることができるのも特徴です。
離床が容易なものになれば、生活範囲が広がり、かつ生活の活性化に繋がるということは明らかです。福祉用具の組み合わせ方次第で、据置型リフトよりも容易に移乗できるスライディングボードは、今後さらに普及する福祉用具と考えられるでしょう。
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頭文字の「UDF」を組み合わせた、ニッコリ笑っているロゴが目印。 |
「へぇ〜、おいしい」。「こんなのもあるんだ」。
日本介護食品協議会のブースでは、ユニバーサルフードの試食を行っていました。
ユニバーサルフードとは、加齢とともに「かむ力」や「飲み込む力」が弱まった高齢者から、歯の治療などで食事が不自由な一般の人までも食べやすいよう加工された食品の総称。
これまで、とろみのついた食品や、細かく刻んである食品など、さまざまなメニューの介護食品が販売されてきました。しかし、やわらかさや形状の表示は、メーカーごとにまちまちで、選びにくいという声が出ていたのです。
そこで今年4月、日本缶詰協会が主体となって「日本介護食品協議会」を創設。統一の表示規格やロゴを作成しました。
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「今後は、少量でもいいからおいしいものを食べたい…という元気高齢者の声に応えていきたい」と、語る稲垣事務局長。 |
同協議会の稲垣事務局長は、設立の目的について「まず、誤嚥を防ぎ、フィジカルな安全性を付与すること。もちろん、食品の衛生・安全性を堅持すること。そして、今まで二の次にされがちだったおいしさを追求することから、QOLの向上に貢献していきたい」と話しています。
注目の統一規格は、「区分1 容易にかめること」「区分2 歯ぐきでつぶせること」「区分3 舌でつぶせること」「区分4 かまなくてよい」「とろみ調整」の5段階。
例えば、区分の違いをかむ力で比較すると、かたいものや大きいものが「やや食べづらい」のが区分1、「食べづらい」が区分2となっています。具体的に主食でみると「ごはん〜やわらかごはん」が区分1、「やわらかごはん〜全がゆ」が区分2という目安になるということです。
ただ、「重度な嚥下障害がある方や誤嚥が心配な方は、医師や専門家に相談してください」と、目安だけにとらわれないよう呼びかけていました。
WHOのWorld Health Report 2000の報告によると、わが国の「平均寿命」は80.9歳で世界トップ。昨今、注目を集めている健やかに過ごせる人生の長さを表した「健康寿命」も1位の74.5歳。
これからは、健康寿命を平均寿命に近づけ、元気な高齢者が新たな活力となる時代へと変遷しつつあります。最近話題のアミノ酸や、ウコンなど、多くの健康食品が出回っていることも裏づけているといえるでしょう。
福祉機器や食品などをかしこく選んで、元気に、長生き!
そのヒントやコツを探す場として、福祉機器展などを活用してみるのも一策です。
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