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メーカー同士が垣根を越えて、連携するという珍しい形の福祉用具の活用法を展示・紹介。
参加者から次々と質問が飛び出しました。 |
正しい適合と選定方法で福祉用具によるQOLの向上をめざそうと、「第1回福祉用具総合セミナー」が、神奈川県伊勢原にある東海大学健康科学部社会福祉学科で開催されました。
福祉用具に携わる介護福祉士、ケアマネジャー、PT、OT、建築士など約150名が参加し、午前の部では、各種の福祉用具の組み合わせ方などを実物で体験。午後の部からはシーティングセミナーで詳細な知識を学んだうえで、改めて福祉用具の組み合わせ等を行い、さらなる理解を深めていくという内容でした。
主催のNPO法人地域住環境改善センターの福井代表は、身体に合わない車いすに乗り続けたために、変形などの二次障害を負った経験がある車いすユーザー。
「車いす=移動、押してあげるもの、持っていくもの、という捉え方が多く、みんな同じような車いすでいいと思っているのが現状です。しかし、車いすはメーカーによっても1つひとつ違うものですから、身体に合わないとだめなんですよ。
私のような二次障害を負うと、食事がおいしくなくなってしまう。食べられないということは、身体が弱まってしまうことにつながりますよね。“車いすに乗っていてもおいしく食べられる”ことがとても重要。福祉用具と二次障害の関係性をもっと重要視し、福祉用具に対する概念を変えていきたいんです」とセミナー開催の狙いを語っていました。
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「車いすはあなたの足ですよ」と言われた時、立ってるのか?座ってるのか?考えましたね、と笑う山崎さん。 |
午後のセミナーでは、シーティングスペシャリストの潟Aクセスインターナショナル山崎泰広代表取締役が、自らの受障経験に触れながら模型やクッションを使って、シーティングについてわかりやすく解説しました。
「二次障害の発生は、避けられない問題ではありません。携わる者がなすべきことを怠った結果による人為的な問題といえます。その二次障害の症状を改善するためには、個々の症状を解決するのではなく、二次障害の元になっている問題を解決することが大切。
その問題解決に必要なシーティングの目的は、(1)安定性の提供、(3)快適性(座り心地の良さ)の提供、(3)褥瘡に対しての予防(障害児の場合は、成長に対する予測と対応)です。それに加えて、車いすで何がしたいのかという詳細な内容のゴールを設定することも重要。
車いすは運ぶだけの台車ではありません。“いす”として、生活の場として考えて処方するものなんです」
時折、ユーモアを交えて進む山崎氏の講義に参加者らは、笑いながら熱心に聴き入っていました。
このセミナーを起点に、福祉用具の意識改革が広がっていくことを大いに期待したいと思います。
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